【2026年最新】ごま以外の「種子・香辛料アレルギー」に海外で新知見|FAREレジストリの健康格差データと、日本の表示制度との違い

種子・香辛料アレルギー 海外の健康格差データと日本の表示制度

「食物アレルギー」というと、卵・乳・小麦・そば・落花生(ピーナッツ)・えび・かに・くるみ・カシューナッツの「特定原材料9品目」や、ごまなどの「特定原材料に準ずるもの20品目」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。2026年に入り、米国の食物アレルギー研究・啓発団体FARE(Food Allergy Research and Education)の患者レジストリ分析が、ごま以外の「種子」や「ハーブ・スパイス」によるアレルギーの実態と、そこに潜む健康格差を明らかにしました。本記事では、この最新知見を紹介しつつ、日本の表示制度との違いを整理します。

目次

米国FAREの患者レジストリでわかったこと

この分析は、米国のFARE患者レジストリに登録された2,601人のデータをもとに行われ、Journal of Allergy and Clinical Immunology(JACI)系の学術誌に報告されました。内訳は、ごまアレルギー1,195人、ごま以外の種子アレルギー968人、ハーブ・スパイスアレルギー616人です。ごま以外の種子で報告数が多かったのは、ひまわりの種・からし(マスタード)・亜麻仁(フラックスシード)の順、ハーブ・スパイスではにんにく・こしょう・シナモン・しょうが・カレー粉の順でした。診断時期は約80%が18歳未満と、子どもの頃に発症するケースが目立ちます。

反応の重さと健康格差

報告された反応のうち約3分の1でエピネフリン(アドレナリン自己注射薬)が使用されており、種子・香辛料アレルギーであっても軽視できない重症例が一定数含まれることがうかがえます。さらに同分析では、ハーブ・スパイスアレルギーの群で人種・所得による偏りが有意に大きいことも報告されました。具体的には、ハーブ・スパイスアレルギー群では黒人(アフリカ系)が23.3%、アメリカ先住民/アラスカ先住民が16.4%、ヒスパニック系が38%を占め、世帯年収2万5000ドル未満の割合も27%(ごまのみの群では8%)に上ったとされています。研究チームは、食物アレルギー診療・研究における人種・所得間の公平性(ヘルスエクイティ)の重要性を指摘しています。

米国の表示制度:ごまは2023年から義務表示の対象に

米国では2021年に成立した「FASTER法(Food Allergy Safety, Treatment, Education, and Research Act)」により、ごまが2023年1月1日から、乳・卵・魚・甲殻類・木の実・落花生・小麦・大豆と並ぶ「9大アレルゲン」の一つとして、米国食品医薬品局(FDA)の表示義務対象に加わりました。一方、からし・にんにく・こしょうなどのハーブ・スパイス類は、現時点で米国においても義務表示の対象にはなっていません。

日本の表示制度との比較

日本では2026年4月の食品表示基準改正により、カシューナッツが特定原材料(表示義務、9品目)に、ピスタチオが特定原材料に準ずるもの(推奨表示、20品目)に、それぞれ新たに加わりました。「ごま」は従来から特定原材料に準ずるものの1つですが、義務表示ではなく、あくまで「可能な限り表示するよう努める」推奨表示にとどまっています。からし・にんにく・こしょうなどの香辛料類は、特定原材料にも特定原材料に準ずるものにも含まれておらず、表示制度上の対象外です。

また、日本では食物アレルギー全般について国レベルの大規模患者レジストリは限定的で、種子・香辛料アレルギーに特化した全国調査は管見の限り見当たりません。米国のような詳細な人種・所得別データが日本国内でどこまで当てはまるかは不明であり、今後の実態把握が課題になり得ると考えられます。

実務アドバイス:香辛料・種子アレルギーがある場合の注意点

ごま以外の種子やハーブ・スパイス類は、日本の食品表示では「香辛料」「調味料(アミノ酸等)」「その他」といった一括表示の中に埋もれてしまうことがあり、個別のアレルゲン名が表示されないケースが少なくありません。心当たりのある食品を口にする際は、パッケージの原材料表示だけで判断せず、外食時にはスタッフへ使用スパイスの確認を依頼する、加工食品はメーカーの問い合わせ窓口で成分を確認するなど、一歩踏み込んだ確認が安全につながります。症状に心当たりがある場合は自己判断で除去を続けず、アレルギー専門医への相談をおすすめします。

まとめ

ごま以外の種子・ハーブ・スパイス類によるアレルギーは、米国の最新データでは軽視できない頻度と重症度で報告されており、人種・所得による健康格差も指摘されています。日本の表示制度では、これらの多くが表示義務の対象外である点を踏まえ、心当たりのある方はより注意深い確認を心がけましょう。

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参考・出典

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。食物アレルギーの診断・治療・除去食の実施については、必ず医師・専門医にご相談ください。

この記事を書いた人

谷口 正純(食品アレルギー情報サイト運営者)。自身がそばアレルギーの当事者であり、子どもの卵・乳アレルギーの診断をきっかけに2015年頃から食物アレルギーの情報収集を続ける当事者・保護者です。アレルギー専門医への10年以上の通院、除去食・代替食の管理、保育園・学校の給食対応など、日常生活の実体験にもとづき、消費者庁・厚生労働省・日本アレルギー学会・国立成育医療研究センター等の一次情報を参照して記事を作成しています。本サイトは医療情報サイトではなく、診断・治療の判断は必ずアレルギー専門医にご相談ください。詳しくは運営者情報をご覧ください。

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