2026年は食物アレルギーをめぐる制度・研究の両面で大きな変化の年となっています。国内では2026年4月にカシューナッツのアレルギー表示が義務化され、特定原材料が9品目に拡大されました。海外では米国FDAがアレルゲン閾値制度への移行を本格的に検討し始めたほか、専門家パネルが乳幼児への早期アレルゲン導入を強く推奨するなど、予防・管理の考え方が世界的にアップデートされています。
1. カシューナッツが特定原材料に追加(2026年4月1日施行)
消費者庁は2026年4月1日、食品表示基準を一部改正し、「カシューナッツ」を特定原材料(義務表示品目)に追加しました。これにより特定原材料は従来の8品目から9品目に増加し、アレルギー表示の対象は推奨表示品目(20品目)を合わせて計29品目となりました。
義務化の背景には、近年の木の実類アレルギーの急増があります。消費者庁が実施する「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」の令和5年度(2023年度)データでは、木の実類の症例数が鶏卵に次ぐ第2位となり、カシューナッツ単体ではショック症状(アナフィラキシー)を引き起こした原因食物の第5位に位置しています。
なお、施行日から2年間(2028年3月31日まで)は経過措置期間が設けられており、既存の表示様式のまま販売を継続することもできます。ただし2028年4月1日以降は完全に義務化となるため、食品製造・販売事業者は早期に対応することが求められます。
同じタイミングで、ウルシ科に属し交差反応が懸念される「ピスタチオ」も推奨表示品目(特定原材料に準ずるもの)に新たに追加されました。
重要ポイント
- 特定原材料(義務):えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)・くるみ・カシューナッツ(9品目)
- 新規追加の推奨表示品目:ピスタチオ
- 経過措置期間:2026年4月1日〜2028年3月31日(この間は従来表示も可)
2. FDA専門家パネル、乳幼児への早期アレルゲン導入を強く推奨(2026年2月)
米国食品医薬品局(FDA)は2026年2月25日、食物アレルギーに関する専門家パネルを開催しました。パネルでは、ピーナッツをはじめとする潜在的アレルゲンを生後4〜6か月から乳幼児に少量ずつ摂取させる「早期導入」が、食物アレルギーの発症を予防する最善策として改めて支持されました。
パネルには米国食物アレルギー研究教育団体(FARE)のCEOも参加し、研究予算の拡充、ならびに診断・治療における迅速な薬事承認を訴えました。また同月、FDAはアレルゲン閾値制度に関するバーチャル公開会合も開催しており、科学的根拠に基づいたアレルゲンリスク評価の枠組みづくりが急速に進んでいます。
3. FDAが「May Contain(含む可能性あり)」表示の廃止を検討——閾値制度への転換
現在、米国では食品メーカーが任意で記載している「May Contain(〜が含まれている可能性があります)」や「〜を製造する設備で製造しています」といった任意のアレルゲン警告表示について、FDAは科学的根拠に基づく閾値(しきい値)制度への移行を本格的に検討しています。詳しい国際的な閾値規制の動向は「食物アレルギー閾値規制の最前線」もご参照ください。
閾値制度とは、アレルゲンが一定量以上含まれると推定される場合にのみ統一フォーマットの警告を義務付けるというもので、現状の不統一な自主表示を整理・標準化することを目的としています。2026年5月まで一般からのパブリックコメントを受け付けており、今後の規制整備に反映される予定です。
日本との比較:アレルゲン管理のアプローチの違い
日本では消費者庁が食品表示基準に基づき、特定原材料の義務表示と推奨表示を法的に整備しています。アレルゲンの「混入可能性(コンタミネーション)」に関する任意表示も存在しますが、統一ルールはまだ整備段階にあります。詳しくは食物アレルギーの原因「特定原材料」徹底解説をご覧ください。
一方、米国では義務表示の枠組みは「FASTER法(2023年施行)」でセサミ(ごま)が追加されるなど拡大してきましたが、コンタミ表示の標準化は今まさに検討が始まった段階です。欧州(EU)では既に食品情報規制(FIC)のもとで14種類の主要アレルゲン表示が義務化されており、コンタミ警告表示の統一ガイドラインも整備されています。日本のカシューナッツ義務化は国際的な潮流と一致しており、今後もグローバルな整合性が求められる方向にあります。
まとめ
2026年は、食物アレルギーをめぐる制度面でも治療・予防の研究面でも、日本・世界ともに大きな動きが重なる重要な年です。国内ではカシューナッツとピスタチオの表示ルール変更が事業者・消費者双方に影響を与えます。海外ではFDAの閾値制度検討や乳幼児への早期アレルゲン導入推奨など、予防と管理の考え方がアップデートされ続けています。アレルギーのある方やその家族は、信頼できる公的機関の情報を定期的に確認し、最新の知識をもとに日常の食品選びや医療機関との相談に役立てていきましょう。また、日々の症状や食事を記録するアレルギー日記も、医師との情報共有に大変役立ちます。
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