【2026年最新】ピーナッツアレルギーの重症度は「口と腸のバクテリア」が左右する?カナダ・マクマスター大学の研究と日本の腸内細菌研究の比較

2026年3月、カナダ・マクマスター大学とスペイン・マドリード自治大学の共同研究チームが、口腔内・腸内に存在する特定の細菌がピーナッツアレルギーの重症度に関与している可能性を示す研究成果を発表しました。この研究は科学誌『Cell Host & Microbe』に掲載され、2026年7月にも米メディアで改めて取り上げられるなど関心を集めています。本記事では研究内容の要点と、日本国内の腸内細菌研究との比較を出典付きで解説します。

目次

1. 研究の概要:口と腸の細菌がアレルゲンを分解する

研究チームは、ピーナッツアレルギーを持つ子ども19人の唾液サンプルを分析し、外部データセット(120人分)とも比較しました。その結果、唾液中にRothia(ロチア)属の細菌が多い子どもほど、症状が出るまでに耐えられるピーナッツタンパク質の量が有意に多いことが分かりました。研究チームはさらに、RothiaStaphylococcus(ブドウ球菌)属の細菌が、主要なピーナッツアレルゲンである「Ara h 1」「Ara h 2」というタンパク質を分解する能力を持つことを確認しています(出典:Cell Host & Microbe誌 論文マクマスター大学 プレスリリース)。

アナフィラキシーを起こしやすいマウスを使った実験でも、Rothiaを投与すると、免疫細胞(IgE)と反応する前にピーナッツタンパク質が分解され、アレルギー反応が有意に軽減されたと報告されています。研究チームは「唾液や腸内の微生物プロファイルが、重症化リスクの高い患者を見分けるバイオマーカーになり得る」と述べており、将来的には経口免疫療法の安全性向上にもつながる可能性があるとしています。

2. まだ「治療法」ではない:現時点での位置づけ

この研究はあくまで基礎研究段階であり、プロバイオティクス(善玉菌サプリメント等)を摂取すればピーナッツアレルギーが治る、ということを示したものではありません。臨床応用には今後さらに多くの検証が必要とされています。ピーナッツアレルギーの診断・治療・経口免疫療法の実施については、必ず医師・専門医の指導のもとで行う必要があります。既存の経口免疫療法に関する最新情報は落花生(ピーナッツ)アレルギー完全対策の記事でも解説しています。

3. 日本との比較:新生児期の腸内細菌叢とアレルギー発症リスク

日本国内でも、腸内細菌と食物アレルギー発症リスクの関連を調べる研究が進んでいます。理化学研究所と千葉大学の共同研究グループは、日本の二つの出生コホート研究(CHIBA study・Katsushika study)のデータを用い、生後1カ月時点でビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌)が優位な腸内細菌叢パターンを持つ子どもは、その後の卵白アレルゲン感作および食物アレルギー発症のリスクが低いことを明らかにしました。この研究は『Journal of Allergy and Clinical Immunology』に掲載されています(出典:理化学研究所プレスリリース)。

マクマスター大学の研究が「アレルゲンを分解する特定の細菌種(Rothia等)と重症度」に着目しているのに対し、理研の研究は「生後早期の腸内細菌叢全体のパターンと将来の発症リスク」に着目しており、研究対象や切り口が異なります。ただし両者に共通するのは、腸内・口腔内の微生物が食物アレルギーの発症や重症度に関与しているという知見であり、今後は「感作・発症の予防」と「重症化の抑制」の両面から、微生物叢を活用した予防・管理法の研究が国内外で進むと見込まれます。国立成育医療研究センターによる卵の早期摂取と食物アレルギーに関する分析はこちらの記事でも紹介しています。

4. 今日からできること

現時点で家庭で実践できる医学的に確立された対策は変わりません。ピーナッツアレルギーが疑われる場合は自己判断で除去や再開を行わず、必ずアレルギー専門医の指導のもとで検査・経口免疫療法などを検討してください。研究の進展については、消費者庁・国立成育医療研究センターなど公的機関の発表を継続的に確認することをおすすめします。なお、腸内細菌叢と食物アレルギー発症リスクの関連は米アレルギーの分野でも報告されており、米アレルギーの実態と対策の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

2026年3月に発表されたマクマスター大学の研究は、口や腸に住む特定の細菌(Rothia等)がピーナッツアレルゲンを分解し、症状の重症度に影響している可能性を示しました。まだ基礎研究段階であり、プロバイオティクスによる治療が確立したわけではありません。日本でも理化学研究所が新生児期の腸内細菌叢と食物アレルギー発症リスクの関連を報告しており、切り口は異なるものの、微生物叢とアレルギーの関係は国内外で活発に研究されている分野です。診断・治療は必ず専門医にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。食物アレルギーの診断・治療・除去食の実施については、必ず医師・専門医にご相談ください。

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