2026年は食物アレルギーをめぐる大きな変化の年となっています。国内では4月1日に食品表示基準が改正され、カシューナッツのアレルギー表示が義務化されました。一方、海外ではFDAが新たなアレルゲン管理の方向性を示し、世界初の食物アレルギー経口免疫療法薬・Palforzia(パルフォルツィア)が7月末に販売終了となるなど、国内外で注目すべきトピックが相次いでいます。本記事では2026年7月時点の最新情報を整理してお届けします。
【国内】カシューナッツのアレルギー表示が義務化(2026年4月1日施行)
消費者庁は2026年4月1日に食品表示基準を改正し、カシューナッツを「特定原材料(表示義務)」に追加しました。これにより、特定原材料は従来の8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)から9品目に増加しています。
カシューナッツが義務化された背景には、木の実類アレルギーの急増があります。消費者庁の2023年度調査では、木の実類アレルギーの症例数比率が24.6%に達し、主要アレルゲンの鶏卵(33.4%)に迫る勢いです。木の実類の内訳ではくるみに次いでカシューナッツが2位を占め、ショック症状を引き起こした原因食物の第5位にも入っています。
ピスタチオが「特定原材料に準ずるもの」に追加
同改正では、ピスタチオも新たに「特定原材料に準ずるもの(表示推奨)」に追加されました。ピスタチオはカシューナッツと同じウルシ科の植物であり、交差反応による重篤なアレルギーが報告されています。現時点では義務表示ではありませんが、製造・販売事業者には積極的な表示対応が求められています。
なお、今回の改正には2028年3月31日までの経過措置期間が設けられています。既存の包材在庫を使い切るための移行期間ですが、消費者としては購入時に新旧いずれの表示も混在している可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
アレルギー対応食品の購入時のラベル確認については、アレルギー対応食品の選び方:購入前に必ずチェックすべき7つのポイントもご参照ください。
【海外】世界初の食物アレルギー治療薬・Palforzia が7月末販売終了
米国では、FDAが初めて承認した食物アレルギー経口免疫療法(OIT)製品であるPalforzia®(ピーナッツアレルギー対象、製造元:Stallergenes Greer)が、2026年7月31日をもって自主的に販売終了となりました。販売終了の理由は安全性や有効性の問題ではなく、商業的な判断によるものとされています。
Palforzia は4〜17歳のピーナッツアレルギー患者を対象に2020年にFDA承認を取得した画期的な製品でしたが、高コストや複雑な投与プロトコルが普及の妨げとなっていました。この販売終了を受け、多くのアレルギー専門医が市販のピーナッツ製品を使った自家OIT(非製剤OIT)に移行しています。
FDAがアレルゲン閾値規制の見直しを示唆
2026年2月、FDAは食物アレルゲン閾値とその応用に関する公開会議を開催しました。これはリスクベースのアレルゲン管理への移行を示唆するもので、「特定の量以下であれば表示不要」とするような数値閾値の導入が将来的に検討されています。この動向は食品製造業者にとって重大な規制変更につながる可能性があり、今後の動向が注目されます。
日本と海外の比較:表示制度・治療の現状
表示義務の観点では、日本は2026年4月改正でカシューナッツを義務化しましたが、米国では「Big 9」(ピーナッツ、木の実、牛乳、卵、小麦、大豆、魚、甲殻類、ゴマ)が義務表示の対象です。欧州(EU)ではゴマを含む14品目が対象であり、それぞれの食文化や疫学データに基づいて対象品目が異なっています。
経口免疫療法については、米国ではPalforzia 終了後も自家OITが広く行われているのに対し、日本では経口免疫療法は標準治療として保険適用されておらず、専門医療機関での研究的実施にとどまっています。日本アレルギー学会のガイドラインでは、OITは「施設基準を満たした医療機関での実施」を推奨しており、一般診療への普及にはまだ課題があります。
旅行先でのアレルギー対応については、旅行・帰省時のアレルギー食管理ガイドもあわせてご確認ください。
まとめ
2026年は国内外でアレルギー表示・治療の両面で大きな動きがある年です。カシューナッツの表示義務化は消費者・食品事業者双方に関わる重要な変更であり、2028年3月の経過措置終了までに完全対応が求められます。また世界初のピーナッツアレルギー治療薬Palforzia の販売終了は、食物アレルギー治療の選択肢に関する議論を改めて喚起しています。FDAの閾値規制の動向とあわせ、今後の国内外のアレルギー対策の変化を引き続き注視していく必要があります。日常的なアレルギー管理には、アレルギー日記の活用も非常に有効です。
出典:消費者庁 食物アレルギー表示に関する情報、Allergen Bureau: Palforzia discontinuation、FDA signals risk-based allergen thresholds
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