「食物アレルギーかもしれない」と感じたとき、最初の一歩になるのが検査です。ただし食物アレルギーの検査は1つの数値で白黒がつくものではなく、血液検査・皮膚検査・経口食物負荷試験という性質の異なる3つの方法を、症状の経過(問診)と組み合わせて総合的に判断します。ここでは、それぞれの検査でわかること・わからないこと、結果の読み方の注意点までをまとめます。
食物アレルギー検査の「3本柱」
検査は大きく分けて、原因として疑う食品を絞り込むための血液検査・皮膚プリックテストと、実際に食べて反応を確かめる経口食物負荷試験の2段階で考えると整理しやすくなります。前者は「体がその食品に反応する準備(感作)があるか」を見る検査、後者は「実際に症状が出るか」を確かめる検査です。
①血液検査(特異的IgE抗体検査)
もっとも一般的なのが、血液中の特異的IgE抗体を測る検査です(ImmunoCAP法など)。卵・乳・小麦・ピーナッツなど食品ごとに抗体の量を測定し、結果はクラス0〜6(または数値)で示されます。一度に多項目を調べられるパネル検査(View39など)もあり、痛みは採血1回で済むため小さな子どもでも受けやすいのが利点です。
注意したいのは、IgE抗体が高い=必ず症状が出る、ではないという点です。抗体があっても食べて症状が出ない「感作のみ」の状態は珍しくありません。一方で、数値が高いほど症状が出る確率は上がる傾向があり、年齢と数値から発症リスクを推定する「プロバビリティカーブ」が診療の参考に使われます。総IgEや好酸球数などをあわせて確認することもあります。
②皮膚プリックテスト(SPT)
抗原のエキスや実際の食品を少量皮膚にのせ、専用の針で軽く刺して反応(膨疹)を見る検査です。その場で十数分で結果がわかり、新鮮な食材そのもので調べられる(prick-to-prick法)のが強みです。陰性であればアレルギーの可能性が低いと判断しやすい(陰性的中率が高い)一方、結果は薬の内服や皮膚の状態に影響されるため、医療機関で条件を整えて行います。
③経口食物負荷試験(OFC)
疑わしい食品を医師の管理下で実際に少量から食べ、症状が出るかを確認する検査で、食物アレルギー診断のゴールドスタンダードとされます。目的は診断の確定だけでなく、(1)アレルギーが治っていないか(耐性獲得)の確認、(2)どのくらいの量なら安全に食べられるかの見極めにもあります。誤食ではなく管理された環境で行うため、万一の症状にもすぐ対応できます。
強い症状が出る可能性がある場合は入院で、リスクが低いと判断されれば日帰り(外来)で実施するなど、リスクに応じて方法を選びます。アナフィラキシーの危険を伴うことがあるため、必ず専門の医療機関で行い、自宅で自己判断の「食べてみる」は絶対に避けてください。
結果の読み方で最も大切なこと:「感作」と「発症」は別
血液・皮膚検査で陽性でも、それだけで「食べてはいけない」とは決まりません。逆に、必要以上に多くの食品を除去すると栄養や成長、生活の質に影響します。検査値はあくまで参考であり、「実際に食べたときどうだったか」という症状の経過がもっとも重要です。除去や解除の判断は、検査結果と問診、必要に応じた負荷試験を踏まえて医師が行います。
検査を受けるまでの流れ
- 記録を持参する:いつ・何を・どれくらい食べて、何分後にどんな症状が出たかをメモ(アレルギー日記)にしておくと診断の精度が上がります。
- 受診先:小児科・アレルギー科、できれば食物アレルギー診療に慣れた専門医を受診します。
- 検査の選択:問診をもとに、まず血液・皮膚検査で疑う食品を絞り、必要に応じて負荷試験へ進みます。
まとめ
食物アレルギーの検査は、血液検査・皮膚プリックテスト・経口食物負荷試験の3つを症状の経過とあわせて読み解くものです。1つの数値に振り回されず、「感作」と「実際の発症」を切り分けて考えることが、不要な除去を避け、安全に食べられる範囲を広げる近道になります。気になる症状があれば、自己判断の前にまず専門医に相談しましょう。
本記事のご利用にあたって(医療免責)
本記事は食物アレルギーに関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な診断・治療・助言に代わるものではありません。症状や検査・治療方針については自己判断せず、必ずアレルギー専門医などの医療機関にご相談ください。呼吸困難・ぐったりする・繰り返す嘔吐などアナフィラキシーが疑われる場合は、ただちに救急要請(119番)してください。本記事は公的機関・学会等の公開情報をもとに作成していますが、最新の制度・診療指針は改定される場合があります。

コメント