2026年4月、食品表示基準の改正によりカシューナッツのアレルギー表示が義務化されました。また、ピーナッツ経口免疫療法では低用量(30mg)でも高用量(300mg)と同等の効果が得られるという画期的な研究結果が発表されています。本記事では、国内外の最新トピックをまとめてご紹介します。
1. カシューナッツのアレルギー表示が義務化(2026年4月1日施行)
消費者庁は2026年4月1日、食品表示基準を改正し、カシューナッツを特定原材料(義務表示)に追加しました。これにより、加工食品にカシューナッツが含まれる場合は必ずアレルギー表示が必要となります。
改正の背景と主要データ
近年の調査において、木の実類による食物アレルギーの症例数は鶏卵に次ぐ第2位となっています。木の実類の内訳では、くるみが第1位、カシューナッツが第2位です。さらにカシューナッツは、ショック症状(アナフィラキシー)の原因食物の第5位であり、重篤な症状を引き起こすリスクが高い食品として認識されています。
改正後の特定原材料一覧(9品目)
- 卵・牛乳・小麦・そば・落花生(ピーナッツ)・えび・かに
- くるみ(2023年3月追加)
- カシューナッツ(2026年4月追加・新規)
同時に、ピスタチオはカシューナッツの義務化移行に代わり「特定原材料に準ずるもの(推奨表示)」に新たに追加されました。推奨表示は引き続き20品目のままです。
経過措置期間について
カシューナッツの表示義務化には2年間の経過措置期間が設けられており、2028年4月1日以降は完全施行となります。それまでは旧表示のままでも流通可能ですが、消費者への安全のため、早めの対応が推奨されています。
2. ピーナッツ経口免疫療法(OIT):低用量30mgが高用量と同等の効果
2026年に入り、ピーナッツ経口免疫療法(OIT)に関する重要な研究結果が相次いで発表されています。その中でも特に注目されているのが、低用量(30mg)の維持量が従来の高用量(300mg)と同等の効果を持つという研究です。
研究のポイント
- 対象:ピーナッツアレルギーを持つ子ども51名(中央年齢10歳)
- 比較:30mg群・300mg群・回避群の3群ランダム化比較試験
- 結果:30mg群の13/17名(76%)が443mgのピーナッツタンパク質に耐性を示し、7名は1,000mg超にも耐えられるようになった
- 安全性:30mg群は300mg群に比べて全身性副作用が少なく、脱落例もゼロ
- 免疫学的変化:ピーナッツ特異的IgEの低下とIgG4の増加が両群とも確認された
この結果は、低用量での治療が効果を保ちつつ副作用リスクを下げる可能性を示しており、より多くの患者が免疫療法を受けやすくなることが期待されます。
出典:Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice(2026年)
3. 日本との比較:OIT・免疫療法の現状
米国では、FDAが2024年に食物アレルギー(1歳以上・IgE媒介型)に対してオマリズマブ(ゾレア)を承認しており、ピーナッツOIT専用薬「パルフォージア」は2026年中に自主的な販売終了が予定されています。一方、日本では食物アレルギーに対する経口免疫療法薬の保険適用はまだ限定的で、専門的な医療機関でのみ対応されています。
また、低用量OITの研究は日本でも進んでいます。国立成育医療研究センターなど主要アレルギー施設が低用量プロトコルを研究しており、副作用を最小化しながら耐性を獲得する方向性は日本の臨床にも大きな影響を与えることが予想されます。
なお、日本でのカシューナッツアレルギーは急増傾向にあります。同国内研究(2013〜2023年の10年間データ)では、ピーナッツ・木の実類アレルギーの有病率が増加しており、特にカシューナッツはアレルギー症状が出る閾値が比較的低いという特徴が指摘されています。
参考:日本のピーナッツ・木の実アレルギーの10年間トレンド(PMC 2026)
まとめ
2026年は食物アレルギーをめぐる制度と治療の両面で大きな動きがありました。国内ではカシューナッツの表示義務化が始まり、加工食品を扱う事業者だけでなく消費者にとっても食品ラベルを確認する重要性がより高まっています。海外では低用量ピーナッツOITの有効性と安全性が証明され、より多くの患者が安全に治療を受けられる道筋が開きつつあります。アレルギーをお持ちの方やそのご家族は、最新の制度変更と研究動向を定期的に確認し、主治医やかかりつけ医と情報を共有することをお勧めします。2028年の完全施行に向け、カシューナッツ表示の動向も引き続き注視していきましょう。
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