2023年から特定原材料に追加された「くるみ(クルミ)アレルギー」——追加の背景には、くるみアレルギーによるアナフィラキシーの報告件数が急増しているという深刻な現実がある。ナッツ類のアレルギーの中でもくるみは最も重篤なアナフィラキシーを引き起こしやすいナッツのひとつで、少量でも重篤な反応が起きることがある。
さらに近年、健康志向の高まりからくるみを使った食品(サラダ、パン、グラノーラ、スイーツ)が急増しており、「くるみが入っているとは思わなかった」という誤食事故が増えている。本記事では、くるみを含むナッツアレルギーの体験談と対策を解説する。
体験談:パンに含まれていたくるみでアナフィラキシーを経験
神奈川在住のJさん(27歳・女性)は2年前、カフェで食べたパンに入っていたくるみでアナフィラキシーショックを経験した。「ライ麦パンっぽい見た目のトーストを食べて、10分後くらいから喉がかゆくなり始めました。飲み物を飲んでも症状が悪化して、気づいたら床に崩れ落ちていました。救急車で運ばれて、ICUで一晩過ごしました」
「パンにくるみが入っているとはメニューに書いておらず、店員さんに聞いてもくるみについては確認していなかったそうです。それ以来、パン屋さんやカフェに行くときは必ずくるみが入っていないか確認するようになりました。でも、くるみを特定原材料と知らないお店の方も多くて、まだ啓発が必要だと感じています」
2023年:くるみが特定原材料に追加された背景
消費者庁の調査によれば、食物アレルギーによるアナフィラキシーの事例で、くるみが関与するケースが急増し、2022年ごろにはそばを上回る頻度でアナフィラキシー事例が報告されていた。これを受けて2023年3月、くるみは「特定原材料」(表示義務がある)に格上げされた。
背景にあるのは食生活の変化だ。健康食品・スーパーフードとしてのくるみの人気上昇により、パン・グラノーラ・サラダ・デザート・スムージーなど、かつてはなかった食品にくるみが積極的に使われるようになった。消費量が増えれば、それだけアレルギー発症・誤食事故の機会も増える。
ナッツ類の交差反応:くるみが駄目なら他のナッツも?
ナッツアレルギーの難しさのひとつが、複数のナッツに同時にアレルギーを持つケースが多い点だ。ただし、すべてのナッツが交差反応するわけではなく、アレルギー専門医による個別の評価が必要だ。
くるみアレルギーの人でカシューナッツにも反応するケースが多く報告されている(カシューナッツとピスタチオは植物学的に近縁)。一方、アーモンドやマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツへの反応は個人差が大きい。ピーナッツは「ナッツ」と呼ばれることが多いが植物学的には豆類(マメ科)であり、木の実(ツリーナッツ)アレルギーとは独立したアレルゲンを持つことが多い。
くるみを含む意外な食品・注意すべき場面
くるみを多用する食品カテゴリ:パン(ウォールナットブレッド・くるみパン・雑穀パンのトッピング)、グラノーラ・ミューズリー・シリアルバー、サラダのトッピング(くるみ入りシーザーサラダなど)、洋菓子(ブラウニー、クッキー、タルト、マフィン)、チョコレート菓子(ナッツ入りチョコ)、アイスクリーム(ナッツ入り)
注意が必要なシーン:ホテルの朝食ビュッフェ(グラノーラ・サラダコーナー)、パン屋・ベーカリーカフェ(共用の設備でくるみを使用する場合)、クリスマスやホリデーシーズンのギフト菓子(くるみ入りケーキ・クッキーが多い)、ワインバーでの前菜(ナッツの盛り合わせ)
ピーナッツアレルギーとの違い:木の実アレルギーの多様性
Kさん(40歳・男性)はピーナッツアレルギーを持っているが、くるみ・アーモンドは問題ない。「ピーナッツが豆類と知ってから、ナッツ類を食べるのが怖くなっていました。でも専門医での検査でくるみ・アーモンドは陰性と確認され、今は問題なく食べています。ただ、一般の方にはピーナッツとナッツの違いが伝わりにくく、外食で『ナッツ類は使っていません』と言われてもピーナッツが含まれていたことがあり困りました」
アレルギーの種類と範囲を正確に伝えるためには、「ピーナッツアレルギー(豆類)」「くるみアレルギー(木の実)」というように具体的な食品名で伝えることが大切だ。
ナッツアレルギーの子どもへの対応:学校・習い事での注意
くるみ等のナッツアレルギーを持つ子どもへの対応で特に気をつけたいのが、学校給食以外の場面だ。バレンタインのチョコレート交換、クリスマス会のケーキ、お誕生日会でのスイーツ——これらの場で「くるみが入っているとは思わなかった」誤食事故が起きやすい。「もらったお菓子は必ず親に確認してから食べる」というルールを徹底することが、子どもの命を守ることにつながる。
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まとめ
くるみアレルギーは2023年に特定原材料に格上げされたほど深刻なアレルギーで、少量でアナフィラキシーを引き起こすリスクがある。健康食品ブームで食品へのくるみ使用が急増しており、「入っているとは思わなかった」誤食事故が後を絶たない。ナッツ類の交差反応の個人差を専門医で確認し、パン・グラノーラ・洋菓子での隠れくるみに注意することが命を守る基本だ。エピペンの携帯と、周囲への正確な情報共有が不可欠だ。
※本記事は情報提供を目的としたものです。症状が疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。

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