「ピーナッツが食べられない」——欧米では学校でのピーナッツ持ち込み禁止が当たり前になるほど、ピーナッツアレルギーは深刻な問題として広く認知されている。一方、日本では「落花生(らっかせい)アレルギー」という呼び名が一般的で、8大アレルゲン(特定原材料)のひとつとして義務表示の対象となっている。
ピーナッツアレルギーは少量でも重篤なアナフィラキシーを引き起こす可能性があり、世界的に最も深刻な食物アレルギーのひとつとして知られている。本記事では、ピーナッツ(落花生)アレルギーの体験談と、日常生活・外食・海外旅行での具体的な対策を解説する。
体験談①:幼稚園で発症した息子のピーナッツアレルギー
千葉在住のOさん(41歳・女性)の息子は、幼稚園の給食でピーナッツバターのサンドイッチを食べて初めてアレルギー症状を経験した。「顔が腫れ上がり、呼吸が苦しそうで、先生から電話がかかってきたときは血の気が引きました。病院でアナフィラキシーと診断され、エピペンを処方されました」
「その後、幼稚園と小学校に診断書とエピペンの使い方を説明した書類を提出しました。先生方が本当に丁寧に対応してくださって、給食でピーナッツが出る日は代替食を用意してもらえました。でも一番困ったのは、お友達のお家に遊びに行ったとき。相手のお母さんにアレルギーのことを伝えるのが、毎回緊張しました」
体験談②:大人になってから発症したピーナッツアレルギー
東京在住のPさん(35歳・男性)は、30代になって突然ピーナッツアレルギーを発症した。「子どもの頃からピーナッツを普通に食べていたのに、タイ料理のパッタイ(ピーナッツが多く使われる)を食べた後、口の中から全身への強いかゆみと蕁麻疹が出ました。最初は食中毒かと思いましたが、翌日同じタイ料理を食べて同じ症状が出たので、アレルギーを疑いました」
検査の結果、ピーナッツ特異的IgEが高値を示した。「一番困ったのは、タイ料理・インドネシア料理・中国料理など、アジア料理が好きだったのに一気に行けなくなったことです。ピーナッツオイルや砕いたピーナッツをトッピングに使う料理が多くて」
ピーナッツは「ナッツ」ではなく「豆類」:交差反応の注意点
多くの人が誤解しているが、ピーナッツ(落花生)は植物学的には豆科(マメ科)の植物であり、くるみ・アーモンドなどの「木の実(ツリーナッツ)」とは異なるグループに属する。したがって、ピーナッツアレルギーがあっても、必ずしもくるみやアーモンドにアレルギーがあるわけではない。
ただし、臨床的にはピーナッツアレルギーとツリーナッツアレルギーを合併するケースは多く見られる。これはアレルゲンの交差反応というよりも、アレルギー体質を持つ人が複数の食物に感作されやすいためと考えられている。専門医での個別検査により、自分がどの食品に反応するかを正確に把握することが重要だ。
また、ピーナッツは大豆・インゲン豆などの豆類との交差反応が起きることがある。ピーナッツアレルギーがある場合、大豆製品(豆腐・味噌・納豆・豆乳)への反応についても主治医に確認しておくことを勧める。
隠れピーナッツ:意外な食品・製品リスト
ピーナッツアレルギーで特に注意が必要な隠れピーナッツ食品を以下に示す。
明らかなピーナッツ含有食品:ピーナッツバター・ピーナッツペースト、柿の種(ピーナッツ入り)、落花生の煎り豆・殻つき落花生、ピーナッツ入りチョコレート・菓子、一部のせんべい・あられ
意外な隠れピーナッツ食品:一部のカレールー・市販カレーソース(ピーナッツを隠し味に使うことがある)、タイ料理・インドネシア料理全般(サテソース、ガドガド、パッタイ)、一部の中華料理(棒棒鶏のソース、担々麺のソース)、一部のアフリカ料理・南米料理、一部のベジタリアン・ビーガン料理(ピーナッツを代替たんぱく源として使用)、一部のアイスクリーム・ソフトクリーム(製造ラインの共用)、ピーナッツオイル(精製度が高い場合はアレルゲンが除去されることもあるが、冷搾りのものは危険)
経口免疫療法(OIT)の最新動向:ピーナッツアレルギーに希望の光
2020年、米国FDA(食品医薬品局)はピーナッツアレルギーの子どもを対象とした経口免疫療法製剤「Palforzia(パルフォルジア)」を承認した。これはピーナッツ粉末を少量から段階的に摂取することで耐性を獲得する治療法で、4〜17歳を対象に実施されている。
日本では現時点でPalforzia自体は承認されていないが、大学病院・専門クリニックでの食物経口免疫療法(OIT)の臨床研究・実施が行われており、「ピーナッツが少量なら食べられるようになった」という症例が報告されている。完全な「治癒」を目指すものではなく、「誤食時の重篤な反応を防ぐための閾値を上げる」治療として位置づけられており、実施の可否・リスクは専門医と十分に相談する必要がある。
海外旅行でのピーナッツアレルギー対策
ピーナッツアレルギーの人が海外旅行で最も注意が必要なのが、ピーナッツを多用する料理文化の国だ。特に東南アジア(タイ・インドネシア・ベトナム・マレーシア)、インド、アフリカ、アメリカ(ピーナッツバター文化)では、料理の「隠し味」や「ソース」にピーナッツが広く使われている。
英語での伝え方:「I have a severe peanut allergy. Even a small amount can cause anaphylaxis. Please ensure there are no peanuts or peanut oil in my food.」タイ語のアレルギーカード(「ผมแพ้ถั่วลิสง」)なども事前に準備しておくと安心だ。
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まとめ
ピーナッツ(落花生)アレルギーは、世界的に最も深刻な食物アレルギーのひとつで、少量でもアナフィラキシーを引き起こすリスクがある。ピーナッツが豆類(マメ科)であることを理解し、ツリーナッツとの違いを正確に把握することが管理の第一歩。タイ料理などアジア料理に多用される隠れピーナッツに注意し、経口免疫療法の最新動向も追いながら、エピペン携帯と周囲への正確な情報共有で安全な食生活を送ろう。
※本記事は情報提供を目的としたものです。診断・治療は必ず医師にご相談ください。

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