「エビが食べられない」——そう言うと「もったいない!」と言われることがある。確かに、エビは日本人が大好きな食材のひとつで、エビフライ、天ぷら、寿司、エビチリ、鍋料理と幅広い料理に使われる。しかし、エビアレルギーを持つ人にとって、この「大好きな食材」は命の危険をもたらす可能性がある。
エビは日本の食品表示法で義務表示の「特定原材料8品目」のひとつ(カニと並んで甲殻類として)であり、重篤なアレルギー反応を引き起こすことで知られている。本記事では、エビアレルギーの体験談と日常生活での具体的な対処法を解説する。
体験談:エビアレルギーの初発症エピソード
福岡在住のGさん(51歳・男性)は、50代になって突然エビアレルギーを発症した。「40年以上何でもなかったのに、ある年の暮れに食べたエビ天のあと、20分くらいして喉がイガイガして全身に蕁麻疹が出ました。病院でアナフィラキシーの一歩手前と言われ、アドレナリンを点滴してもらいました」
成人でのアレルギー新規発症は珍しくない。特に甲殻類アレルギーは成人発症が多いことが特徴で、「ずっと食べられていたのに突然」というケースが珍しくない。子ども時代に問題なかったことで油断しがちな点が、成人発症のエビアレルギーの怖さだ。
エビアレルギーの主な原因物質:トロポミオシン
エビのアレルゲンとして最も重要なのがトロポミオシン(Tropomyosin)という筋肉タンパク質だ。このトロポミオシンは熱に非常に安定しており、加熱調理してもアレルゲン性がほとんど消えない。また、カニ・ロブスター・シャコ・ヤドカリなどの甲殻類のトロポミオシンと構造が非常に似ているため、交差反応が起きやすい——つまり、エビアレルギーの人はカニでも反応する可能性が高い。
さらに注意が必要なのがダニとの交差反応だ。ダニのトロポミオシンとエビのトロポミオシンは構造が似ており、ダニアレルギーがある人がエビに対してもアレルギーを持つ「甲殻類-ダニ症候群」が知られている。日本のダニアレルギー患者の一部がエビアレルギーを合併しているのはこのためだ。
隠れエビに注意:意外な食品リスト
エビそのものを食べなくても、意外な食品にエビ成分が含まれているケースがある。
直接的なエビ含有食品:えびせんべい・えびチップス、桜えびを使ったふりかけ・トッピング、エビの干し物(干しエビ)を使ったスープの素・出汁、一部のインスタントラーメン(スープ)
要確認の食品:一部のお好み焼き粉(桜エビ入り)、一部のふりかけ・混ぜご飯の素、タイ料理・ベトナム料理のソース類(フィッシュソースにエビが含まれる場合)、エビ味のポテトチップスや菓子類、一部の天然出汁(海老だし入り)
外食で注意すべきシーン:回転寿司(エビが使われた軍艦・同一の醤油入れ)、ビュッフェ(エビ料理のサーバースプーンが共用)、鍋料理(エビを鍋に入れた際のスープ汚染)、屋台・縁日のエビ焼き・エビ串近く(油や蒸気の共有)
