「お寿司屋さんのエビを食べた瞬間、口の中がピリピリして……。その後みるみる顔が腫れてきて、のどが締め付けられるような感覚になりました」——エビ・カニアレルギーは、成人の食物アレルギーの中でも特に多いアレルギーの一つです。甲殻類に含まれるトロポミオシンというタンパク質が主なアレルゲンで、エビとカニの間には強い交差反応があるため、両方にアレルギーを持つ方がほとんどです。本記事では当事者の体験談と、日本の食文化の中でエビ・カニアレルギーと共存するための実践的な情報をお伝えします。
エビ・カニアレルギーの特徴:成人に多く、一生続くことも
エビ・カニアレルギーは卵・牛乳・小麦アレルギーと異なり、大人になっても自然に耐性を獲得することは少なく、一度発症すると生涯にわたってアレルギーが続く場合が多い点が特徴です。成人の食物アレルギー患者の中では、小麦(WDEIA含む)と並んで最も多いアレルゲンの一つです。
アレルゲンのトロポミオシンはエビとカニに共通するタンパク質で、これが強い交差反応の原因です。同じ理由で、ロブスター・ザリガニ・シャコなども避ける必要がある場合があります。また、ダニのアレルゲンもトロポミオシンを含むため、ダニアレルギーを持つ方がエビ・カニにもアレルギー反応を起こす「交差反応」が知られています。
症状は口腔アレルギー症候群・蕁麻疹・嘔吐・下痢から、重症の場合はアナフィラキシーまで多岐にわたります。
当事者の体験談①:温泉旅行先で起きたカニアレルギーのアナフィラキシー
「カニの産地として有名な温泉地に家族で旅行した時のことです。夕食のカニ鍋を楽しんでいたところ、食事の途中から全身に蕁麻疹が広がり、のどの違和感も出てきました」とGさん(52歳・男性)。旅館のスタッフが機転を利かし、すぐに救急搬送してくれたおかげで大事には至りませんでしたが、入院することになりました。
「若い頃からカニを食べていても何ともなかったのに、まさか50代でアレルギーが出るとは……。先生からは『食物アレルギーは大人になってからでも発症する』と説明を受けて、初めてそういうものだと知りました。今では旅行の計画を立てる時も、食事内容を事前に確認するようにしています。カニの産地への旅行はもう行けないかなと思うと少し残念ですが、家族が旅館に細かく確認してくれるので安心して旅行できています」。
当事者の体験談②:外食の度に感じるストレスと上手な付き合い方
「エビアレルギーで一番困るのは外食です。日本食は特にエビが多くて……」とHさん(34歳・女性)。天ぷら・寿司・お好み焼き・鍋料理・ラーメン・チャーハン・パスタ・リゾット……エビはあらゆる料理に登場します。
「居酒屋さんでは基本的に食べられるものが少ないので、お酒を飲む席ではひたすら飲み物だけにすることも。一番困ったのは会社の宴会で、幹事さんに事前に伝えていたのに料理にエビが入っていて、目の前に出てきた瞬間に固まってしまいました」。
Hさんが実践している対策は、「外食前の下調べ」と「自炊の充実」です。「エビ不使用のメニューがあるお店をSNSやGoogleマップの口コミで事前に探す習慣をつけました。最近は『アレルギー対応』を売りにするお店も増えてきて、だいぶ楽になりました。自炊でエビが使えない分、タコやイカ・貝類を活用するレシピを増やしています」。
エビ・カニが含まれる意外な食品と調味料
エビ・カニアレルギーで見落とされやすい食品・調味料について詳しく解説します。エビエキス・カニエキスを使用した調味料(一部のだし・スープの素・ラーメンスープ)、桜えび入りのお好み焼き・たこ焼き・お菓子(えびせんべい)、干しエビを使ったチャーハン・炊き込みご飯の素、エビの殻からとったキチン・キトサンを使ったサプリメント・食品、一部のカレールー(えびベースのもの)などには注意が必要です。
また、料理の場面での「コンタミネーション」にも注意が必要です。同じ油でエビ天ぷらとその他の食材を揚げた場合、エビアレルギーの方には危険な場合があります。天ぷら店では必ず事前確認することをお勧めします。
エビ・カニ不使用の代替うまみ食材
エビ・カニの代わりにうまみや食感を楽しめる代替食材として、タコ・イカ(トロポミオシンを含むが、エビ・カニとの交差反応は個人差が大きい)、ホタテ・アサリ・ハマグリなどの二枚貝、ホッキ貝・ミル貝などの食感が楽しめる貝類、こんにゃく・きのこ類(食感の代替として)、昆布・かつお節・干しシイタケなどのだし(うまみの代替として)が挙げられます。ただし、貝類にアレルギーのある方は必ず専門医に確認してください。
おすすめ関連書籍・商品(楽天アフィリエイト)
まとめ:エビ・カニアレルギーと長く付き合うために
エビ・カニアレルギーは一生付き合っていくことが多いアレルギーですが、代替食材の豊かさと食の多様性を活かすことで、充実した食生活を送ることは十分可能です。旅行・外食・宴会など、食事を楽しむ機会を事前の情報収集と相手への説明でスムーズに乗り越えていきましょう。アナフィラキシーのリスクがある方は必ずエピペンを携帯し、緊急時の対応を周囲の方にも共有しておくことが重要です。
※本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。専門医にご相談ください。

コメント